12回へのご招待 増本光雄(高12回)

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 2012年4月27日(金)。修道学園の同窓会事務局に同窓会報№77を5部ほど分けてもらうために伺った。学園の近所に所用があったので、「もしいただければ、もらっとこう」という軽い気持ちで寄らせてもらったのである。
 うら若き女子事務員が応対してくれて、冊子は気持ちよく手渡してくれた。
 「次号から年1回の発行になります。その代わり、カラーページになります。これを契機に、各学年の卒業生の方にお願いして、同期会の記事を掲載させていただきたいと思っています。ぜひ、12回の記事も載せていただきたいと思います」と口説かれました。
 かたちはいかようであろうとも、うら若き女性に口説かれるのは、かれこれ数えて、40年振りのことであった。
 「書くのはさして、苦労だとは思いませんが、さて、『誰のことを?何を題材に?』となるといろいろ差し障りが出てくることもございまして・・・」と言葉を濁しますと「ご無理にとは申しませんが、できましたら、ぜひお願いいたします」と真剣な素振りで懇願された。71歳の爺さんにとってみれば、うら若き女性の真剣なお願いは立派な無理強いなのであります。
 という次第で、さっそくパソコンのキイをたたいている次第であります。
 わたくし、この年になりまして、近年、『文章は世の中を変える力をもっている』と信じるようになりました。ということで、「これはと思う機会さえあれば、発信は厭わない」と思うようになりました。かといって、あまりでしゃばりたくはございません。
 とやかく勿体ぶって言ってはみるものの、思慮を重ねた末、至極簡単に、うら若き女性の口車に乗って、駄文を書いてみることになりました。

120625-04.jpg さて、私達12回生はこれまで一年に一回1月12日に同期会を開いてきました。28歳から開催しているので、今年でかれこれ42回は続けてきたことになります。
 しかし、多少マンネリになり、出席人数も年々減少傾向にありました。そこで、今までの幹事が体調を崩した隙をついて、幹事の位をのっとって、内容の一新を図ることにしました。
 そこは言うに言われないテクニックを使いまして、なんと一挙に50パーセント以上増しの出席率を保持したのでありました。
 また、この度の同期会には52年ぶりに出席したという、自ら名乗ってもらわなければ全く誰か解らない同期生が6人もいました。平たく言えば同期会に対して処女体験であるという浦島太郎のような人もいたのです。こういう人をどんどん常連に繰り込んでいくのが世話人の務めであります。そのためには、同期会を更に魅力のある会にするようあらゆる努力を惜しまないようにしなければならないと内々で申し合っております。
 調子に乗って、来年度はさらに今年度の30パーセント増しの出席者の増加を目標にすることにしました。つまり、一学年で80人以上の出席を目論んだのであります。
 現実を申しますと、毎年一学年80人以上の出席という数字は、71歳になる我々にとっては非常に厳しい数字であります。
 2012年度のコンセプトを(1)リーズナブルにすること、(2)交通の利便性を考慮すること、(3)椅子席にすることの3点に絞って実施しました。これが大成功とまでいかないにしても、大きな成果を生みました。
 かなりの同期生が、この会の出欠を迷ったということを後で聞きましたので、まだまだ潜在的な出席希望者はかなりいるものと踏みまして、次回はもっと大人数の楽しい会にしようと案を練っている次第であります。
 ということで、来年度は(1)年齢を考慮して、気候の良い時期を検討してみる。(2)一番出席し易い曜日はいつか?を検討する。(3)ゆとりのある、自由に交流できる収容会場を探す。この3点をコンセプトに持ってこようと思っています。

 私たち同期生は、この年ですから、あらかた第一線を退いた者が多くを占めておりますが、まだまだ未練たらしく、世間で活躍している者もいます。
 少し昔話になりますが、果敢にもどこかの市長に挑戦した元気者の同期生やら、なんたら商工会議所の会頭とか、『誠備グループ』を取り仕切っていた株屋さんとか、住吉連合会の自称ナンバー4とかいうちょっと世間からはみ出した人とか、人間の能力にさして違いがあるとは思いませんが、善悪織り交ぜて、まだまだ多くの同期生が人力ではどうしようもないくらい混沌としたこの世の中で活躍しています。その生き方は結構多種多様で、私たち同期生を楽しませてくれています。
 もちろん、同期会には善良な人しか出席しませんから、私がこの提出レポートで少々失礼なことを書こうと、小指を切られるようなことはありません。
 年を重ねていきますと、女房を含めて、孫娘以外の女性に相手にされなくなるに正比例して、同期生に会う楽しみの比重が増してきます。同期生との交流会は、今や私たちの『愛のゆりかご』なのでございます。
 ということで、同窓大会にも私たちの同期生は例年25名から多いときは35名くらい出席させてもらっています。
 これはただ単に、片道切符の案内ハガキを170枚前後出すだけであります。ハガキの費用は先の『同期会』の出席者が多くなれば、必然的に経費が浮いてきますので、それを流用させてもらっています。同窓大会には出席しようがすまいが本人の意思に任せているので、世話人の負担になることは一切ありません。とはいうものの、多くの同期生が集まってくれるに越したことはありません。
 同窓大会は同期生だけでなく、多くの先輩やかわいい後輩に会えるのも楽しみの一つであります。これはこれで有意義な大会だと思います。

120625-05.jpg さらに、もう一つ修道中学の時のクラス会というものもやっています。これは全クラスがやっているわけではありませんが、育ち盛り、生え盛り、付き盛り、遊び盛り、いたずら盛りの年齢ですから、これがまた、思い出すだけで愉しいのであります。
 「あの時、ああだった。こうだった。」というお話だけで、立派な会合が成立するのですから、これまた、見上げたものであります。
 ところが、私たちは70年以上もそれぞれが得も言われぬ荒波を潜り抜けてきた自称『睾丸の美少年』ですから、大病の一つや二つはクリアーして、ここまで、生きて来ています。残念ながら、アルコールを受け付けない体に堕している輩も多々いるのであります。いまや、多くが『抗癌の美少年』と化してきているのであります。
 同級生とはまことにいいもので、同席いたしますと、そういう輩もウーロン茶で完全に出来上がるのでございます。
 そういう愉しい会から、派生的に生まれてくるのが『ゴルフ大会』とか『プチ修学旅行』であります。
 プチ修学旅行は、今のところ、日帰りか、せいぜい一泊で、大体6人くらいの人数で挙行しています。この人数が丁度8人乗りワゴン車に無理なく乗れる人員でありますし、自由勝手な振る舞いに及ぶ傍若無人な赤子のような老爺の統制を執るには理想的な員数なのであります。行方不明になると、参加人員の携帯番号を把握していて、電話をかけて探します。
 大体、履行前に、その時のテーマを決めておきます。『人類の平和について』とか、『日本政治、経済の行方』とか『世界の趨勢』とか、『地球の温暖化の問題』とか、『病理学的見地から検案する中高年の傾向と対策』とか非常に重い課題を、温泉につかりながら、はたまた、地方の名物料理を前にして、居酒屋で語るのを『通常総会』としております。
 また、できれば、酒を飲まない運転要員を2名以上確保しておくこと、車の所有者はなるべく障害のある者がベスト。なぜならば、高速道路料金が半額になりますし、駐車料金がタダのところもあります。更に、美術館及び公共施設が付き添いを含めて2名がタダになります。みんなで割れば、かなりの割引になり、それだけ余計に酒が飲めるという計算が成り立ちます。それに、70歳を越しますとただになる施設が多いという有利さが俄然幅を利かせます。後輩の方々にも「早く来い来い70歳!」。

120625-06.jpg 『荒淫矢の如し』(どうも、パソコンの調子が悪いようであります)と申しますが、若い時は元気で夢も希望もありますが、年を取りますと月日が経つのが速いこと。これも人生に『感動』というものが、だんだん無くなってきているせいだと思います。
 後輩の諸君には、特に力説しておきますが、人生は一度きりです。今度生まれてきたらミジンコに生まれ変わるか、カゲロウに生まれ変わるか、クラゲに生まれ変わるか、イワシに生まれ変わるか判ったものではありません。それともこの地球上から影も形も消滅してしまうかも知れたものではありません。
 どうも、年を取りますと、落としどころはこういうお話になりますが、結局は『死に際の美』を探し求める人生に切り替えざるを得ないということになるのであります。
 さて、楽しいお話はこれくらいにして、そろそろ私のお話は終わりにしようと思います。つきましては、これからも12回をよろしくお願いいたします。広島に暮らしていて、これほど頼もしい同窓生はおりません。これからもっともっと横にも縦にも連携を強めて、その絆を精一杯有効利用して、有意義な、愉しい残り少ない人生を謳歌したいものだと思っております。
 最後に、権威ある『修道同窓会誌』にふさわしくない言動が多々ありましたことを深くお詫びいたします。呆け老人のたわごとと思召して、心を広く開いて、気持ちよく受け入れていただければ幸甚に存じます。

2012年4月29日